Wednesday 29 August 2012

Pulmonary embolism肺塞栓は覚えておきたい病名です。

 先日、ご紹介したAthlete’s Heart Blogで肺塞栓の事が紹介されていました。
http://athletesheart.blogspot.jp/2012/08/pulmonary-embolism-kills-triathlete.html

Please refer the original site.

 2002年サッカー日本代表だった高原選手がワールドカップを控えた頃に、2011年にはテニスのSerena Williamsがそれぞれエコノミークラス症候群という病名で知られる肺塞栓で入院された事をご記憶でしょうか?(そもそも彼らはエコノミークラスを利用する人たちではありませんので、最近ではロングフライト症候群と呼ぶようにもなっていますが)。

 以前も一度引用させて頂きましたAthlete's Heart Blogの昨日のpostで、Ironmanのフィリピン大会に参加した44歳の男性が、バイク競技中に死亡し、解剖の結果、肺塞栓であることが判明した事を取り上げています。

 肺塞栓は、深部静脈血栓(DVT)に起因するとされます。DVTは下肢の大きな静脈の中で血液の塊が形成され、血流に乗って肺動脈に到達し、肺動脈を塞いでしまうことで肺塞栓を起こすとされています。

 重症度、血栓の大きさにもよりますが、呼吸苦、心拍数の増加、胸痛や胸部不快感などが主な症状です。肺塞栓が疑われる場合には胸部CTを行い、診断されます。

 DVTを生じやすいのは、がん患者、手術後の患者、長期間ベッド上の患者、老人、ロングフライトの搭乗者、スモーカー、肥満の方々です。その他、妊娠中、産後の方や経口避妊薬を服用中の方も注意が必要です。全米では毎年20万人の方がこの肺梗塞でお亡くなりになっているようです。
http://www.medicinenet.com/deep_vein_thrombosis_dvt_pictures_slideshow/article.htm
http://www.medicinenet.com/deep_vein_thrombosis_dvt_pictures_slideshow/article.htm


 そもそも、リスクファクターに並ぶキーワードを眺めてみると、多くはトライアスリートとは縁の無さそうな印象ですが、スモーカー、ロングフライト、経口避妊薬というキーワードには該当する方もいらっしゃるかも知れません。普段、ロングフライトとは縁がなくても遠隔地の大会に空路で参加する事もありますよね。

 トライアスロンにおいて突然死のリスクが最も高いのは、スイムで、大半の突然死はスイム中に生じています。私が初めて参加した昨年の横浜シーサイドトライアスロンでもお一人スイム中に搬送され、お亡くなりになりました。

 バイクでの突然死というのは外傷、事故を除けば極めて珍しいと私は感じました。過去の報告に肺塞栓が原因となるトライアスロン中の突然死の記載を見た事が無かったからです。ただ、実際にこうして肺塞栓による死亡例を知らされると、やはり鑑別疾患として頭に留めておかねばならないと感じます。

 我々も遠隔地のトライアスロン大会に参加する場合、空路で参加する場合があり、海外の大会ともなれば4時間を越えるフライトになります。フライト中にはこんな事を気をつけると良いでしょう。とくにスモーカーの方、経口避妊薬を常用されている方はお気をつけ下さい。

1.Drink plenty of water!
 フライト前、フライト中に水分を十分にとりましょう。つい、トイレの混雑を嫌って水分を摂らない、という方もいらっしゃいますが、水分はしっかりとるようにして下さい。

2.Get up and walk around at least every 2-3 hours.
 機内でも2、3時間おきに歩き回りましょう。

3.Find ways to keep the legs active in your seat.
 座席にいる間も足を動かせるように。最近は機内のモニターで体操を促す場合がありますので、これを利用するのも良いかもしれません。

4.plenty of sightseeing by foot once you arrive.
 現地に着いたらたくさん歩きましょう。乗り物ばかりでなく、歩いて観光するのがおすすめです。

引用サイトは以下の通りです。
http://athletesheart.blogspot.jp/2012/08/pulmonary-embolism-kills-triathlete.html
http://www.medicinenet.com/deep_vein_thrombosis_dvt_pictures_slideshow/article.htm

Monday 20 August 2012

Aquathlon race, me and my son 城南アクアスロン第二戦

(pictures and English captions are in the latter half of the page)

 昨日は城南アクアスロンシリーズの第二戦に参加して参りました。前回同様ですが、大会運営をされていらっしゃるスタッフの皆様の献身的なお力添えのもと実施されている大会で、手作り感が心地よく感じられます。
   I and my son, Tomo, participated a mini aquathlon race this weekend. It is a kind of introduction for beginners including small kids to the ordinary triathlon races organized by local triathlon unions in Southern Tokyo-Metropolitan. There are 5 races in 3 months and this was the second race. Although facilities are not well established, we enjoyed such a comfortable, "hand-made" aquathlon race and thanked all the staffs organizing this race.


 今回の会場は井の頭線と京王線の重なる明大前から徒歩5分ほどの日本学園で行われました。スイムは学園内の25mプールで、ランは校舎周りと校庭を半分使ってのコース設計です。

 教室をお借りした形の更衣室で着替えて荷物をもって体育館内の一角に陣取りました。プールに隣接された体育館でスタンバイ出来るのは快適でした。忘れ物を遠くまで取りに行く必要も無く、ゆっくり休憩も出来ました。

 ウォーミングアップのスイム。25mプールとしては水深があり、息子は130cmほどですが、底に足をつけると口元が水中に沈んでしまうくらいの水深だったようです。泳ぎやすいプールですが、ここを周回して300m泳ぐのは若干の恐怖を否めないところでした。

 15分ほどアップをした後に、靴を履いてランコースを下見しました。背の高い木々に囲まれた敷地内は住宅地の中の森のような印象でしたが、いざ走ってみると気になる事はいくつかありました。校舎周りということですので、コンクリートのでこぼこがあったり、下駄箱近くではスノコの上をダンと踏み越えて走ったりという部分がありました。一つ一つ息子と要注意ポイントを確認しながら走りました。

 ラジオ体操、主催者による説明会のあとで、ウエーブスタートが採用されていました。やはり、この大きさのプールでは、ウエーブ制度を取らないと危なくていけません。高校生から順次スタートし、私は第3ウエーブのスタートです。

 25名ほどの40前後の男性が一斉に25メートルプールのひとコースからスタートし、四隅を泳いで回る、これはさすがに無理がある設定だったようです。私がこれまでの経験したレースの中で最も壮絶なバトルでした。幸い2周、3周と周回を重ねて行くうちに前後に接触する人はいなくなり、周回遅れを追い抜く手間はありましたが何とか無傷でトランジションを迎えました。

 今日のテーマは靴下なしに靴だけ履く最短トランジション。5、6秒でスタートし、校舎の周りを三周回しました。途中、何名かに追い抜かれましたが、自分なりのスピードでは走る事が出来たようです。タイム、順位はウェブ発表をみないと分かりません。

 さて、足早にプールに戻り息子のスタートを確認します。

   After finishing my aquathlon race, I ran back to the swimming pool where my son was supposed to be ready for his race.


 いました。今日は、スタートライン先頭の中央を確保してというのが作戦でしたが、予定通りのポジションをキープして、入水の号令を待っていました。
   There he was. The kid on blue trisuit and white cap is my son,Tomo. 



プールの中でも、白帽子は、やはりスタートライン中央にいました。
He kept the best starting position, the center of the very front line.



軽快に泳ぎを終えて上陸しました。この時点で3位。ちなみに、プールの中の赤いトライトップの高校生は「ブイ」をしてくれていました。
He finished his swim in the third place. The students athletes wearing red tritops are "human-buoy".


トランジション。といってもこの日は靴を履いて、ゴーグルとキャップを脱ぎ捨てるだけ。予定外に靴を履くのに手間取りましたが、無事スタートを切りました。
Transition. Just taking off his cap and googles and wearing his shoes.



一周、校舎の周りを走り、最後は校庭を走ります。校庭に入って来た時点で後ろの選手に猛追されていましたが、必死の逃げで粘ります。僕の見立てでは後ろの子の走力の方がやや上のようでした。
He was passed over by other man in the last aquathlon race in July. So he ran as fast as he could this time.


なんとか最後まで粘り、無事ゴールイン。
And he finished his second aquathlon race in the third place.


正式に確認は出来ていませんが、恐らく3位入賞です。4名しか参加していないとはいえ、よく頑張りました。おとうさんはとてもとても入賞なんて無理ですから。
Although we have to wait for the official results, he was so happy to be "the bronze medalist"! 
Way to Go, Tomo!



Thursday 16 August 2012

To prevent Sudden Cardiac Arrest 競技中の突然死を防ぐために

私が最近愛読しているDr.Creswellのブログに興味深い記事がありましたので引用させていただきました。
The Athlete's Heart Blog
http://athletesheart.blogspot.jp/2012/08/marathon-safety.html

以下本文より

I've written previously about the race of SCA at long-distance running events. We learned from a careful study (of nearly 11 million runners) reported earlier this year that the rate of SCA is approximately 1 per 100,000 marathon participants and approximately 1 per 300,000 half marathon participants. The mean age of victims was 42 years and 86 % were men. Form the non-surviving victims in whom autopsy information was available, the vast majority had an underlying heart condition such as hypertrophic cardiomyopathy (HCM), other abnormal hypertrophy, heart valve disease, or coronary artery disease.

SCAはSudden Cardiac arrestのことで、突然の心停止

Interestingly, the occurrences of SCA were not distributed uniformly along the length of the race. In marathons, the SCA events were much more common in the 20 mile-to-finish segment. Similarly, in half marathons, the SCA events were much more common in the 1- mile-to-finish segment. One reasonable hypothesis is that the SCA events in the final miles of the races may be linked to an increase in adrenaline levels as runners lift the pace or surge toward the finish line.

マラソンのレース中にお亡くなりになるランナーの平均年齢は42歳、86%が男性、死後剖検された症例の大半は心臓に基礎疾患を有していた。SCAが起こるのは、レースの後半に多く、フルであれば32km以降、ハーフであれば16km以降に多い。

どうやら、先週末のトライアスロンで2名の参加者がお亡くなりになったようで、これを見て急遽、アスリートの人たちへ提言を掲載されたようです。


出典はInternational Marathon Medical Director's Associationが2010年にまとめた提言のようで、これから抜粋されています。

http://aimsworldrunning.org/articles/IMMDA_Sudden_death_and_how_to_avoid_it_3.20.10.pdf

1.  Participants should be well-trained and have a race plan that matches their level of training and fitness.
2.  Have a yearly physical examination being sure to discuss your exercise plans, goals, and intensity at that visit.
3.  Consume a baby aspirin (81 mg) on the morning of the race if there is no contraindication to do so.  I'd recommend discussing this with your doctor beforehand.
4.  Consume less than 200 mg of caffeine before/during a 10K or longer race.
5.  Only drink sports drink (or equivalent) in races of 10K+.
6.  Drink for thirst.
7.  Do not consume NSAIDS (eg, Motrin, ibuprofen) during a race of 10K+.
8.  Consume salt (if no medical contraindication) during a 10K+ race.
9.  During the last mile, maintain your pace or slow down; do not sprint the last part of the race unless you have practices this in your training.


しっかりとレースに向けて自分の身の丈に合ったトレーニングを重ねること
毎年の健診を怠らないこと。
支障がなければ医師と相談の上アスピリンを服用すること
10km以上のレースで服用するカフェインは一定量(200mg)以下に留めること
水ではなくスポーツドリンクを選択すること
口渇には水分を摂取すること
ロキソニンなどNSAIDSはレースではダメ
塩分を補給すること。
最後の1マイルだからといって頑張らないこと


By courtesy of  Dr. Lawrence Creswell